私の仕事について、多くの人は「新しいブレンドに挑み、素晴らしい新製品を送り出すことでしょう」と言いますが、それは違います。今回の来日に合わせて開催したセミナーでもお話ししましたが、マスターブレンダーの仕事の95%はブレンドのレシピを維持し、品質を守り続けること。つまり「継承」です。来年も再来年も、10年後、さらに次の10年も、伝統あるバランタイン・スタイルが変わらずに受け継がれていくよう、日々心を砕いているのです。
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バランタイン・スタイルを言葉にするなら「エレガントでソフト。複雑でありながらバランスの取れた、やや甘みのある味わい」といえます。1937年に誕生した『バランタイン17年』をはじめ、どの製品からも一貫して感じてもらえるはず。それは、ジョージ・バランタイン(創業者、初代マスターブレンダー)から続くオリジナルレシピの精神を守るのはもちろんのこと、アメリカ産ホワイトオーク材を使った樽作り、原酒の見極めと熟成・貯蔵、それに品質管理に至るまで、すべての面で継承を心がけているからなのです。
発酵槽の中の状態に興味津々
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同感ですね。長く愛されてきた味わいを守るためのエネルギーは、新製品にかけるエネルギーよりはるかに大きい。それに、「継承する」とは、ただ頑なにレシピを守るということではないと思うんです。そのウイスキーを特徴付けている香りや味わいといった固有の部分は残しつつも、目に見えない部分をブラッシュアップし、常にリファインしていくことを考えなくちゃいけない。10年、20年を経て飲み比べた時に、トータルな質感というか、完成度が明らかに向上していなければなりません。この山崎蒸溜所を例にとっても、発酵槽をステンレスから木に戻したり、われわれブレンダーの意向に沿って蒸溜釜の改良を重ねていくことによって、ベースとなる原酒の品質は間違いなく上がっているわけですから。
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そう。ウイスキーには、変えていく部分と変えてはいけない部分があるということですね。原酒の種類や配合を徐々に、微妙に変えていくことはあっても、最終フレーバーは常に保たなければならない。そして、こうした重要な使命を担うマスターブレンダーは、ウイスキーづくりに関わるすべての工程を把握していなければなりません。私はウイスキーの世界に入って27年になります。マスターブレンダーになったのは2005年11月からですが、それまでの20年を超す年月で、貯蔵からボトリングに至るまで、あらゆる職場を経験しました。ジャック・ガウディー(3代目マスターブレンダー)、ロバート・ヒックス(4代目マスターブレンダー)の下で修業を積み、アシスタントを務め、その結果として栄誉ある職務に就けた。そのことを誇り� ��思っています。
そうですね。私も蒸溜、貯蔵、ボトリングと一通り経験しました。原酒や製品に何かトラブルが発生した時、どこに原因があるのかを素早く判断し、対処するためにも、すべての工程を理解しておくことは欠かせません。
先ほど、ブレンダーには嗅覚や記憶力が必要だと言いましたが、それ以前の基本的な資質として、ウイスキーへの飽くなき情熱を持っていること、そして、スコッチの伝統に対する敬意と誇りを深く感じている人でなければならない。私はそう考えています。バランタインのラベルには、1938年にスコットランド紋章院から交付された紋章が描かれ、ラテン語で「人類の友」と記されています。そこに託された思いを継承し、次の世代へ伝えていくことが、5代目マスターブレンダーを任された私の最も重要な役割なんです。
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